習氏演説 途上国支援で“反米勢力”結集狙う 2020.9.23 21:31

 【北京=西見由章】中国の習近平国家主席は22日、国連総会の一般討論演説で、
新型コロナウイルスをめぐって「政治問題化や汚名を着せることに反対しなければならない」と述べ、
直前に中国を非難したトランプ米大統領に反論した。
中国は米国などの先進国に根強い不信感を抱く発展途上国を取り込み、
国際舞台での多数派工作を通じて米国主導の対中包囲網を瓦解(がかい)させたい考えだ。

 習氏は演説で、中国が開発しているワクチンを「世界の公共財」として
発展途上国に優先的に提供する考えを改めて表明した。
巨大経済圏構想「一帯一路」沿線の途上国などに対し、医療支援を通じて影響力強化を図る狙いだ。
コロナ対策に取り組む国連の世界人道支援計画に5000万ドル(約52億円)を追加拠出する方針も
表明し、「世界最大の発展途上国」(習氏)として世界への貢献と途上国の利益擁護をアピールした。

 習氏は、中国共産党の脅威を強調しているトランプ米政権を念頭に
「イデオロギー論争を捨て、文明の衝突のわなを乗り越えなければならない」と牽制。
「いかなる国とも冷戦も戦争もするつもりはない」と米中対立の激化は望まない姿勢を示しつつ、
「旗幟(きし)鮮明に一国主義と保護主義に反対しなければならない」と“反米勢力”の結集を訴えた。

 途上国が多数を占める国連にあって、「新型コロナや香港、人権問題などをめぐって
中国を批判している国は必ずしも多数派ではない」(北京の外交筋)というのが中国の現状認識だ。
中国外務省は23日、トランプ氏の演説について
「米側は国連の演台を利用して嘘の話を作り上げた」と非難する報道官談話を発表した。
米国が“横暴な超大国”だとするイメージを植えつけることで途上国の支持を広げたい考えだ。

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