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[FT]保健当局への敵対姿勢さらに強めるトランプ陣営
2020/9/18 15:08日本経済新聞 電子版 Financial Times

今週、トランプ米大統領の盟友が厚生省の要職から退いたことをきっかけに、大統領に
よる政治任用者と新型コロナウイルスへの対応を責務とする保健当局者との間でくすぶ
っていた緊張が一気に表面化した。

2カ月前に厚生省報道官に任命されたマイケル・カプート氏が16日、職務から離れると表
明した。同氏は13日、フェイスブックでライブ配信した動画で米疾病対策センター(CDC)
の科学者について、トランプ氏の足を引っ張り、大統領選の対立候補である民主党のバイ
デン前副大統領を援護しようとする犯罪的陰謀に加担していると非難し、批判を浴びていた。

トランプ氏の忠実な盟友であるカプート氏は、リンパ系の異常でストレスが生じる状態に
なり、「必要な検査」を受けるため休職すると述べた。詳しい病状には言及しなかった。
しかし、数人の高官はフィナンシャル・タイムズ(FT)に対し、カプート氏が動画で怒り
をぶつけて休職したことは、大統領選が迫るなか、トランプ氏の政治任用者と政府内のキ
ャリア科学者との関係がいかに悪化しているかをまざまざと物語るものだと語った。

投票日まで残り50日を切り、遊説を加速しているトランプ氏は自身の大きな政治的弱点の
一つであるコロナ禍について、脅威は下火になったと支持者を安心させようとしている。
これを受けて、ワシントンでは政権内の盟友がトランプ氏の楽観論を保健当局の政策に反
映させようとし、新たな論争に火がついた。

■「カオス状態だ」

「今はカオス状態だ」と主要保健当局のあるキャリア官僚は話す。「選挙が迫るなかでト
ランプ側の人たちは、実際の状況よりも、彼がコロナ禍について有権者に言っていること
に政府の対応を合致させようと必死になっているようだ」