長射程ミサイル、22年取得 離島防衛、「敵基地攻撃」転用も―F35搭載・防衛省
2020年09月07日07時08分

 離島防衛などで敵の脅威圏外からの対処を可能にする「スタンド・オフ・ミサイル」と位置付ける
射程約500キロのミサイルを、防衛省が2022年3月までに取得することが分かった。
中期防衛力整備計画(19〜23年度)に基づくもので、自衛隊の現有火力では
最も長射程になるとみられる。航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F35Aに搭載される。

 政府は陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画断念を機に、
弾道ミサイルによる攻撃を阻止するために、他国の領域を標的にする
「敵基地攻撃能力」の保有を含めた抑止力の議論を本格化させている。同能力保有に踏み切れば、
相手国内の固定レーダーサイトや、ミサイル関連施設をたたく兵器として、転用される可能性もある。

 防衛省などによると、取得するのは、ノルウェー製の対地・対艦ミサイル「JSM」。
開発が完了し、22年3月中旬が納期となっている。JSMはF35の胴体内部に搭載でき、
レーダーに探知されにくいF35のステルス性を生かした対艦・対地攻撃が可能となる。
 空自が保有するF15戦闘機のうち近代化する機体についても、
米ロッキード・マーチン社製の射程約900キロのミサイル「LRASM」や「JASSM」の
搭載が検討されている。米軍は戦略爆撃機を使いJASSMの発射試験を実施。
LRASMはイージス艦発射用にも開発が進んでいる。

 安倍政権は射程上、敵基地攻撃にも使えるスタンド・オフ・ミサイルの保有について、
憲法9条に基づく専守防衛との整合性について議論を尽くさずに導入を決定した。
 千歳(北海道)、三沢(青森県)、小松(石川県)、築城(福岡県)、那覇基地(沖縄県)などから発進した
空自戦闘機が日本海や東シナ海からスタンド・オフ・ミサイルを発射すれば、
北朝鮮や中国、ロシア沿岸部などに到達する。
 憲法上許される自衛のための必要最小限度のミサイルは、どこまで保有できるのか。次期政権は
ミサイルの長射程化に向けた防衛力整備について、国民への説明責任を果たすことが求められる。
ttps://www.jiji.com/jc/article?k=2020090600201
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