>>936
見せしめにしやすいらしい

【社説】激化する中国の豪州いじめ
2020 年 9 月 1 日 13:07 JST 更新

 西側諸国の中でオーストラリアは、軍事・経済・外交面で中国の影響力を
最も強く受けている国だ。このため両国の関係は、中国共産党が他国をどう扱いたいと
考えているのか見極めるための指標として、注目に値する。中国が、同国の
ニュース番組のアンカー役を務めていたオーストラリア人の成蕾(チェン・レイ)氏を
何の理由説明もないまま拘束したことは、中国の対豪威圧姿勢の最新例だ。

 中国国内で勤務したり、旅行したりする外国人が危険にさらされていることが、
次第に明白になってきている。オーストラリア人作家、ヤン・ヘンジュン氏は、あいまいな
「スパイ」容疑で昨年から拘束されている。そして、カナダ人のマイケル・コブリグ、
マイケル・スパバ両氏が2018年から中国で拘束されていることも忘れてはならない。
中国は、対イラン制裁に違反したとしてカナダで拘束されている華為技術(ファーウェイ)の
孟晩舟最高財務責任者(CFO)の米国への身柄引き渡し阻止のため、カナダ政府に
圧力をかけており、2人のカナダ人は、そのための人質になっているとみられる。

 豪州は今春以降、新型コロナウイルスの発生源に関する独立した調査を支持する動きを
みせたとして、中国政府の怒りの攻撃に直面している。ある国営メディアの代表者は豪
州が「中国の靴の底に貼り付いたガム」のようだと述べた。中国は5月に豪州産の
大麦に関税を課し、牛肉の輸入を制限したほか、先週末には、豪州からの輸出ワインに
関する新たな調査を開始した。これは貿易面の新たな打撃になる可能性がある。

 こうした関税措置や拘束措置が発しているのは、中国共産党を不快にする立場をとる
国があれば、中国政府はその強大な力を使って報復を行うというメッセージだ。
中国は先週末にかけてチェコにも脅しをかけ、ビジネス代表団を率いて
台湾を訪問した同国の上院議長について、「高い代償を払う」ことになると述べた。
台湾は、中国が吸収したがっている自治の島だ。

 香港、台湾、新型コロナウイルス、人権、そして南シナ海などの問題に関し、
中国は威圧的外交により、相手国の意志を曲げることが可能だと考えているように思われる。
各国政府のほか、米プロバスケットボール協会(NBA)を含むビジネス分野に対し、
中国の影響力が、同国の経済面での台頭によって一層強まっているのは確かだ。

 しかし、世界は、中国共産党の隷属要求により、太平洋地域において同国が支配的勢力
となるのを容認するリスクに気づき始めている。中国の指導者たちは、世界が中国の
台頭を抑えたがっていると国民に信じ込ませた。しかし、彼らはオーストラリアのような
諸国を威圧することで国際的に得た評価をリスクにさらしている。

https://jp.wsj.com/articles/SB10557005316144304846804586604204014844130