アメリカの先行く中国の量子科学 。「ステルス」は丸裸、兵器新調は無意味に
岡田充 [共同通信客員論説委員]
https://www.businessinsider.jp/post-195977

中国の物理学者、潘建偉教授らのチームが2016年8月、世界初の量子通信衛星「墨子号」を打ち上げ、ハッキングや盗聴を不可能にする「量子暗号通信」を飛躍的に向上させたと紹介した。
アメリカはまだ量子衛星打ち上げに成功していない。だから中国の量子衛星は、新たな「スプートニク・ショック」というわけだ。
潘建偉チームは衛星に続き2017年5月3日、「光量子コンピューター」の開発に成功したと発表した。
これを報じた新華社によると、試作機のサンプル計算速度は、世界の同様の研究チームによる実験の2.4万倍以上に達したという。
量子コンピューターの能力は、従来の「0か1か」の演算とは異なり、「0かつ1」という2種の状態を「量子ビット」とすることで、並行計算が可能で計算能力は飛躍的に高まる。
理論的には、従来のコンピューターなら数万年かかる複雑な計算を数秒間で解決できるという。

量子情報はコピーできない。そのためハッキングできない状態で、情報の送受信が可能だ。つまり中国の暗号システムをアメリカは解読できない。
一方、アメリカの伝統的暗号は量子通信によって解読されてしまうから、「ステルス戦闘機は丸裸にされる」(矢吹氏)のだ。