>>335
(続き)
 これらはいずれも、当時のソ連の独裁者スターリンが引き起こした歴史的悲劇だ。
 しかしロシアは今、「連合国の行ったことはすべて神聖だ」(ラブロフ外相)と主張し、
北方領土問題を含め、一切の議論を受け付けない。
 エリツィン元大統領はシベリア抑留について、
非人間的行為だったと認めて日本に率直に謝罪したが、そうした経緯は忘れられてしまったようだ。

 特に懸念されるのは、プーチン大統領が昨今、
第2次大戦をめぐるスターリンの行為を評価する姿勢を強めていることだ。
 6月に発表した論文では、スターリンの自国民に対する弾圧を批判する一方で、
ナチスドイツと密約を結んでポーランドに侵攻し、バルト三国を併合した歴史は正当化した。
 国民の愛国心を鼓舞して政権の求心力に転化させようと、
歴史を都合良く描き直し、宣伝しているとみるほかない。
 多くの周辺国は、プーチン氏の独善的な歴史解釈を懸念している。クリミア半島の併合や、
周辺国の分離独立勢力への支援など、昨今のロシアの振るまいにも通じるからだ。

 ロシアであれ日本であれ、過去に学ばない者は同じ過ちを繰り返す。
日ロが次世代のために平和条約交渉を前進させるためには、
ともに自国の負の歴史を直視する必要がある。

ttps://www.asahi.com/articles/DA3S14582986.html