新型コロナ「正しく恐れて」 わかってきた特徴と対策
2020/8/15 10:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZZO62684590V10C20A8000000/

新型コロナウイルス感染症の患者が確認されてから8カ月が過ぎた。
感染者は再び拡大に転じており、これまでのデータや研究から新型コロナの特徴の一端が分かってきた。
確かな知識を持ち対策する「正しく恐れる」心構えが大切だ。

日本の感染再拡大のペースは、世界的には依然として緩やかだ。
直近1週間(8月4〜10日)の人口10万人あたりの新規感染者数は約7人にとどまる。
100人以上が感染するブラジルや米国のおよそ20分の1の水準だ。

「第1波」となった今春は、医療崩壊につながりかねない重症患者が急増した。
5月初旬には患者全体に占める重症患者の比率が5%台に達した。
一方、感染再拡大が始まった7月以降の1カ月間の重症患者比率は1%台にとどまる。

重症化しにくい若者の感染者が増えたことが理由の一つだ。
第1波では3割強だった20〜30代の割合は6月下旬以降、6割近くまで上昇した。
これに対して60代以上の割合は3割強から1割まで減っている。

医療・療養体制も課題だ。全国でならすと病院や病床、療養施設には余裕があるようにみえる。
ただ、沖縄県の病床使用率が80%を超えるなど、地方都市のなかには医療体制が逼迫してきたところも出てきた。
コロナの問題は地方都市の問題にもなりつつある。

年代別にみると致死率は80歳以上で最も高く、21.9%にのぼった。
持病のない人では致死率が1.4%だったのに対して、心血管疾患のある人では13.2%、
糖尿病で9.2%、高血圧で8.4%、慢性の呼吸器疾患で8%、がんで7.6%だった。

重症化する患者では、体内のウイルスが減ったりなくなったりした後も体中で免疫が過剰に働き、全身の血管や臓器がダメージを受けるとする説が有力だ。
例えば脂肪組織では炎症が起きやすく、肥満の重症化リスクの高さにつながっている可能性がある。過剰な免疫反応は新型コロナ患者の血栓症の原因にもなりうる。
免疫暴走をとめることが治療に有効とみられる報告も出てきた。英国の臨床試験では炎症を抑える「デキサメタゾン」の投与が人工呼吸器の必要な患者などの致死率を下げるとする結果が出た。