政治へのホンネを露わにした小泉今日子の気がかりな「新境地」
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5月31日、歌手で女優の小泉今日子が共産党の機関紙「しんぶん赤旗」日曜版で大々的に掲載され、女優の渡辺えりとオンラインで対談して注目を集めている。
小泉も近年、政治的な発言を続けており、しかもリベラルのスタンスを鮮明にしたこともあって物議を醸している。
小泉は、自身が代表取締役を務める制作会社「明後日」の公式ツイッターでも、東京都知事選への投票を呼びかけたり、
小池百合子知事の再選という結果を受けて「現実は受け止めないといけないが、投票率の低さに驚いた」と感想をつぶやいていた。

中でも注目が集まったのが、検察官の定年を引き上げる検察庁法改正案に対して、反対のツイートを連発したことだ。
ただ、その内容が、安倍晋三首相の写真が掲載された記事とともに「こんなにたくさんの嘘をついたら、本人の精神だって辛いはずだ。
政治家だって人間だもの」というものだった。明らかに権力者に対する皮肉で、強い政治的メッセージだといえる。
人気商売の芸能人にとって、国民を分断する論争に積極参加することは、本来得策ではないといえる。
多くの芸能プロダクションが所属タレントに政治的発言を控えるようにクギを刺すのは、むやみに嫌われたり、好感度を下げることでCMなどの出演オファーから外されることを恐れるためだ。

当たり前だが、日本国民として政治的発言は言論の自由であり、何ら問題のない話である。
ただ、芸能人という職業を「プロフェッショナル」という視点から捉えればどうだろうか。
お笑いコンビ、ウーマンラッシュアワーの村本大輔は政治的関心を強めるあまり、本業の芸にまでその色を持ち出したため、「笑い」という観点では以前より面白くなくなったとの声が多々ある。
もちろん何をしようが彼の自由だが、今や人を笑わせる漫才師というより、評論家に転身してしまったかのようだ。

独立後、プロデューサー業に専念しているとはいえ、小泉の本業は女優だ。「さまざまな役を演じる」ことが仕事であり、
その道のプロとして見れば、わざわざ素のキャラを見せて反政府的な色を付ければ、今後の演技に影響が出ることは否めない。
フーテンの寅さんを演じた渥美清のように、演じる役に感情移入してもらうため、つまりは自分の芸を守るために私生活を見せないようにしてきたプロはたくさんいる。
亡くなるまで家族が笑えるコントで勝負し続けた志村けんは、自ら生み出す笑いに邪魔になるような無駄な主張は控えてきた。
ある大物俳優は私生活では熱心な自民党支持者だったが、そのことを公言したことは一度もなかった。

小泉が人として何を主張しようが自由だし、彼女の政治信条を支持する人もたくさんいるはずだ。
その中に、彼女の本業である女優としてプラスになるかどうかを考えている人がどれだけいるだろう。
これから何を演じても政権批判している素の表情がちらついて、ドラマや映画に集中できない視聴者や観客が出てきたらどうか。
純粋に彼女の芸に惚れてきたファンなら、単に「そんなことよりも、よい演技と歌を見たい」と思っていることではないだろうか。