※日本での医療ツーリズムの成功は、アウトバウンド政策につながります。特にインドへのアウトバウンド政策は有効ですね。

医療ツーリズムの最近の動き:アウトバウンド
https://www.medical-tourism.or.jp/column/mano_column_3/

日本においてもアジアの諸外国と同様に、医療ツーリズムを使って医療産業を振興させようという動きがあった。
しかし、日本がアジアの国と違ったのは、非常に優れた国民皆保険制度という医療保障制度があった事である。
この制度のもとで日本国民は50年もの間、非常にレベルの高い医療を廉価で受診してきた。
そのために医療が産業であると言う視点が、医療提供者にも国民にもなくなってしまっているのである。

医療ツーリズム自体はアメリカにおける医療費の高騰、ヨーロッパにおける待ち時間の増加、あるいはアジア発展途上国における医療レベルの低さ、といったことから起きてきたことである。
しかし、そもそも、患者を受け入れる国の医療レベルが高くなければ医療観光は成立しない。ここで医療レベルが高いという意味には、その医療レベルの高さが認知されているということが必要である。
残念ながら、医療機器も含め日本の医療レベルは高いのであるが、その医療レベルの高さと、機器のレベルの高さがアジア諸国に認知されてないという現実があった。
日本の医療の素晴らしさをアジア諸国にアピールしていこう、そして結果的に患者が日本に来ることになる、といった考えが生まれてきたとも言える。

内需が大きく期待できそうなインドなので、日本からもそこに進出しない手はないという話もある。日本企業の豊田通商・セコム医療システムと現地財閥キラロスカとの合弁で設立されたSAKRA WORLD HOSPITALを紹介しよう。
2013年7月外来オープン、12月入院病棟オープン、2月フルオープンした。それぞれの強みを融合させる為にお互いのスタッフが細やかな情報交換を重ねて、さらには日本から看護師が数名派遣され指導している。

現地の中間層、富裕層だけでなく東アフリカからも患者が訪れる。インドでは循環器医療が進んでいるが、がん治療やリハビリは遅れている。
ただしこの取り組みが大きく化けるかどうかは未知数である。患者数は多いが、競合病院もあるし、医療機器はにおいて日本製品は皆無といっていい。

日本製の機器にインドの医師が慣れ親しんでいないからである。