■米中貿易合意にもほころび

米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は先週、中国の劉鶴(リュウ・ハァ)副首
相との電話会議を受け「第1段階の合意」の履行について楽観的な見通しを示した。
だが、合意はほころびを見せ始めている。合意から8カ月がたつが、中国はこのままでは
目標を達成できない公算が大きい。中国は20年から2年間で米国からの輸入を貿易戦争前
の17年の水準から2千億ドル増やすことで合意している。

米ピーターソン国際経済研究所によると、合意対象となる米製品の対中輸出額はこれまで
に1007億ドルに達しているはずだったが、実際には485億ドルにとどまる。
同研究所のチャド・バウン氏は第1段階の合意にもかかわらず、トランプ氏の下で米中の
通商関係は悪化したと指摘する。より広範な構造問題への対応に乗り出す雰囲気は全く感
じられないと話す。

ブリンケン氏は「中国政府はトランプ大統領をことごとく出し抜いてきた」と述べた。
「トランプ氏は強硬な発言と実際の行動を一致させるどころか、何度も引き下がっている」
とも批判した。

■対中強硬路線に広がる懸念

ブッシュ政権の元高官で、現在は米アメリカン・エンタープライズ研究所で外交政策部門
を率いるコリ・シャキ氏は「私がバイデン陣営に加わっていたら、トランプ大統領の習氏
に関する全ての発言に反証する」と語った。「トランプ氏自身が中国の悪行を封じ込める
強力で一貫した政策にとって最大の障害になっているので、バイデン氏ほどひどい候補は
いないという主張を国民の間に定着させるのは極めて難しいだろう」とも指摘した。

ヘンリー氏は「強硬派は中国に対する問題を強調するばかりで、解決しようとしない。そ
の狙いは定かではなく、政策というよりもむしろ考え方や感情の問題だ。こうした政策は
米国の安全保障上好ましくない」と懸念を示した。