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[FT]トランプ氏が対中貿易赤字を語らなくなったわけ
2020/9/3 13:00日本経済新聞 電子版 Financial Times

トランプ米大統領は与党・共和党の党大会を終え、大統領選に向けて臨戦態勢に入った。
そうした中で2016年の前回大統領選とあまりにも対照的なのは、米国の対中貿易赤字に
ついて口をつぐんでいる点だ。

トランプ氏は共和党大会で中国に狙いを定め、新型コロナウイルスの責任問題から新疆
でのウイグル族への人権侵害に至るまでありとあらゆる点で攻撃した。だが、大統領選
が11月に迫るなか、貿易については明らかに鳴りを潜めている。

■貿易赤字額は高止まり

16年の大統領選では、対中貿易で強硬姿勢を大幅に強めることを公約に掲げ、中国は米
国を「レイプしている」と非難した。その後、中国に対して貿易戦争を仕掛け、今年1月
には部分的な合意を確保した。もっとも合意は盤石とはいえず、貿易赤字は高止まりしている。

米ブルッキングス研究所の中国専門家であるライアン・ハース氏は、トランプ氏は16年
の大統領選では米労働者のためにもっと素晴らしい貿易協定の交渉に乗り出すと約束し、
有権者に貿易赤字額を「成績表」にするよう求めたと振り返った。

野党・民主党の大統領候補バイデン前副大統領のブレーンも務めるハース氏は「トラン
プ氏がこのところ貿易について話したがらないのは、メディアに分析されたくないから
だ」と指摘する。「米国民はまさにトランプ大統領が解決を約束した分野でコテンパン
にやられている」と語った。