日本のリーダーは何故いつも駄目なのか

歴史から考える

戦後、最大の国難といわれている新型コロナウイルス問題。このコロナウイルス問題をめぐって、いま日本のリーダーたちはジレンマに立たされている。すなわち、一方でコロナウイルス対策を徹底すれば、日本経済は破綻する。他方、経済活動を優先すれば、コロナウイルスの感染は拡大する。
 こうしたジレンマ状況で、日本のリーダーたちは、次々と失策を繰り返しているように思える。特に、誰が見ても、辞めた方がいいと思えた「Go toトラベル」キャンペーンは実施され、連休中に多くの人々が全国へと旅立った。そして、いま沖縄は最悪の事態に直面している。
 日本のリーダーたちは、なぜこのキャンペーンを止められなかったのか。なぜこのような意思決定をしたのか。
 実は、この同じようなジレンマ状況にあったのは、太平洋戦争に直面していた日本のリーダーたちであった。次々と失策を繰り返し、結局、勝てない米国との開戦を決定した。なぜ彼らは戦争を止めることができなかったのか。
 これらは、一見、異なる現象に見えるかもしれない。しかし、そこにはリーダーたちに共通するある行動原理が見えてくる。現代の日本のリーターたちに潜む行動原理について、開戦時のリーダーたちと比較して説明してみたい。今年も、戦争について考える季節がきた。
79年前に直面していたジレンマとは
 満州事変以降、米国は満州国を認めず、日本軍の中国全土からの無条件撤退を要求し、鉄などの主要な資源を禁輸した。しかし、突然始った独ソ戦にチャンスを見出した日本軍は、対ソ戦を念頭に陸軍は北進し、南方の石油資源を念頭に海軍は南進した。
 しかし、この南進が米国の怒りをかい、石油の全面禁輸となった。石油のほとんどを海外から輸入していた日本にとって、それは自滅を意味した。こうした状況で、日本のリーダーたちは、ジレンマに直面した。
 もし米国の要求に応じて、日本軍が中国から完全撤退すれば、石油は輸入できるが、そのために明治以来多大な資金を投入して獲得した中国での多様な利権を失い、国内から多くの非難がおこる。
 しかし、もし米国の要求を無視し、自滅を避け、石油資源を独自に調達するために、南方の蘭印(インドネシア)に侵攻すれば、ほとんど勝ち目のない米国との戦争になる。