https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-21/QDSIW3DWRGHA01
コロナ再拡大、警戒緩んだ香港に不意打ち−備え不十分で世界に教訓か
Jinshan Hong、John Cheng、Felix Tam 2020年7月21日 11:38 JST

●若者の感染が目立つ日本と違い、香港は高齢化−重症化リスクも
●感染経路不明の割合大きい−香港政府は社会的距離巡り幅広い措置

香港は今月に入り、新型コロナウイルス感染拡大にこれまでにない規模で見舞われている
が、感染者急増への備えが十分でない。
香港では域外からの流入を除く感染者がこの約2週間で計560人に膨らんでおり、感染経路
不明が半数近くを占める突然の感染急拡大に不意を突かれた格好となっている。オーストラ
リアなどアジア太平洋地域の国でも感染が再拡大しているが、病床の空き具合や検査能力は
香港を上回っているように見える。

若者の感染が目立つ日本や米国とは違い、香港の感染者は以前に比べて高齢となっており、
重症化する例が増える可能性もある。今回の「第3波」は中央値で55歳と、これまでの第1、
2波の40歳から年齢が上がっている。介護施設での集団感染も起きている。
  
香港政府は検査や隔離、入院施設の拡大を急いでいるが、先月まで1日当たりの域内感染者
が28人を上回ることがなかった香港では警戒が緩んでいた。昨年末に中国本土で確認された
コロナ感染に素早く対応し、マスク着用やソーシャルディスタンス(社会的距離)の実施に
即座に動いた香港だったが、春までには安心感が生まれ、制限の緩和に伴ってレストランや
バーにも大勢の客が戻っていた。

域外からの訪問者を巡る管理の抜け穴や緩い隔離要件、限られた検査能力が新型コロナに付
け入る隙を与えた。封じ込めの成功例と広く見なされてきた香港の暗転は、新型コロナのパ
ンデミック(世界的大流行)でより深刻な感染拡大が今後起きる可能性があり、各国政府は
準備を怠るなという教訓になっている。