ダラス・モーニング・ニューズ紙とテキサス大学タイラー校が同州で行なった先週の世論
調査では、バイデン氏が5ポイント差でリードしている。4月時点では互角だった。バイデ
ン氏は無党派の間で10ポイント、共和党支持者の間でも4ポイント、それぞれ支持率が上昇
した。

バイデン氏は先週、テキサスで初めてテレビ広告を流した。だが陣営の関係筋によると、
人口2900万人の同州を制するのに必要な費用を投じるのに見合う勝算があるのか、バイデ
ン氏はまだ判断していないという。

バイデン氏に勝機は十分あるとみるテキサス州選出のベラ下院議員(民主党)は、陣営は
優先度を見極めなければならないと話す。「資源配分の面が大きい。資金がどれだけあり、
他に投じなければならないのはどこなのか」

ベラ氏は、テキサス州の都市近郊で民主党支持が広がっており、情勢はバイデン氏に有利
とみている。テキサスは米国のコロナ感染の中心地の一つになっており、共和党員もトラ
ンプ氏のコロナ対応に怒っているとベラ氏は強調する。

同州の政治ニュースレター「クオーラム・リポート」のスコット・ブラドック編集長は、
トランプ氏がバイデン氏の勝算を高めていると指摘する。「ハリケーンがメキシコ湾岸の
全てをひっくり返してしまうように、コロナの拡大が全ての人の生活を変えている。大統
領の仕事ぶりは大きな支持を得ていない」

バイデン氏に十分な勝機があるもう一つの理由として、共和党を支持する都市郊外の女性
有権者が「トランプ氏に幻滅しつつある」とブラドック氏は指摘する。だが、それでもバ
イデン氏を十分に押し上げるには至っていないという。

だが、州都オースティンで活動するあるロビイストは、トランプ氏はテキサスの農村部で
「サダム・フセイン(元イラク大統領)級の人気」があるが、それ以外の地域では危うい
変化に直面していると指摘する。「テキサスは白人有権者が共和党を見限るまではレッド
ステート(共和党が強い州)のままだろうが、郊外の白人女性が共和党に見切りをつけ始
めている」