「企業側は以前からフェイスブックに対し、透明性を大幅に高めることと第三者による
(基準とデータの)検証を求めていた」と話すのは、仏広告大手ハバスの元最高経営責任
者(CEO)でブランドマーケティングを手がけるIT(情報技術)企業「ユー・アンド・ミ
スター・ジョーンズ」創業者のデービッド・ジョーンズ氏だ。

「これらの問題は長い間くすぶっていたが、ここに来て人種問題でクローズアップされた。
企業側が言おうとしているのは、この問題は非常に真剣に受け止めなければならないとい
うことだ」

先週、いち早くボイコットを表明した大手企業の1社、米通信大手ベライゾン・コミュニ
ケーションズは、フェイスブック上の自社広告が、陰謀論を唱える集団「Qアノン」の
「憎悪と反ユダヤ主義の言説をあおる」不適切な動画の横に出ていたとの報道が決断に
つながった。

一方、米マイクロソフトや米菓子大手マースなどは不適切なコンテンツの横に広告が出
ないよう、管理の強化をフェイスブックに明確に求めていた。

世界広告主連盟(WFA)のスティーブン・レールケCEOは、「広告主側は、ソーシャルメデ
ィア業界全体に広げることができ、個々の企業がその価値観にふさわしい配置場所を選ぶ
ことを可能にするツールを必要としている」と話す。

アナリストらは、昨年700億ドル以上だったフェイスブックの年間売上高にボイコットが
及ぼす影響は限定的とみている。広告収入の約75%は、ボイコットを主導する大手ではな
く中堅・中小企業からの収入だからだ。

それでもフェイスブックはボイコットを受けて既に「ブランドセーフティー」(広告出稿
に起因するブランドイメージの毀損を防ぐこと)のための変更を余儀なくされた。同社は
6月29日、有害なコンテンツの横に広告が配置されないようにする対策の精度と、データ
報告の正確性について、メディアの信用調査を手がける企業メディア・レーティングス・
カウンシルによる監査を受け入れると発表した。掲載されているヘイトスピーチと誤情報
の量についても、独立監査を受けると表明した。