安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会」の前夜祭の費用総額の一部を補填(ほてん)していたことを安倍氏周辺が認めたことについて、地元・山口県下関市の関係者からは「信じられない」と驚きが漏れる一方、「補填は一切ないとしていた国会答弁は何だったのか」「安倍氏が知らなかったはずがない」と疑問の声も上がった。

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 周辺によると、安倍氏の秘書は前夜祭の費用総額は会費だけでは足りず、一部を安倍氏側で補填していた事実を把握していたが、安倍氏には伝えず、問い合わせに対しても会費以外の支出はないと回答したという。安倍氏は首相在任中に国会などで前夜祭について「安倍晋三後援会の収入、支出は一切ない」などと事実と異なる答弁をしていた。

 こうした説明について、安倍事務所から誘われて前夜祭に参加した元市議は「料理はどこの立食でも出るような内容であり、5000円の会費で妥当と思っていた」としたうえで、「安倍さんはあれだけ国会で否定しているので、『知らなかった』で逃げるしかないでしょう」と話した。また、別の元市議は「秘書がやったといっても、安倍さんの責任は避けられない。『秘書がやった』では国民は信用しない」とした。

 後援会の元関係者の男性も「安倍さんは緻密な人で、秘書から報告を聞いていなかったとは思えない」と語り、前夜祭に参加した男性は「会費が5000円でも高いと思った内容だったが、安倍さんが補填の事実を知らずに国会で答弁していたなんていうことはあり得ないだろう」と話した。

 一方、元後援会幹部の男性は「会費を決めて、それでパーティーの総額をまとめてもらうことは、政治の世界では日常的に行われている。もし費用が増えたならば会費を増やせばよかった。なぜこのような事態になったのか理解できない」と語った。支援者の女性も「パーティーは会費に見合ったものだった。補填は信じられない」と話した。

 「『桜を見る会』問題の真実を求める下関・長門市民の会」の豊嶋耕治共同代表は「国会答弁は何だったのかと怒りがこみ上げてくる。安倍さんが知らなかったことはないと思う。全部事務所がやったというだけでは済まされない」と憤った。安倍氏を支援してきた下関市の自民党員の50代男性は「安倍さん自身は聞いていなかったとしても、本人がきっちりと正確に説明してほしい」と求めた。

 安倍前首相辞任か

安倍氏と同じ下関市を地盤とし、自民党県連幹事長を務める友田有県議は「報道されているだけで、本当かどうか分からない。コメントできない」とした。