幻覚と妄想の特徴について

統合失調症の幻覚や妄想には、2つの特徴がある。その特徴を知ると、幻覚や妄想に苦しむ気持ちが理解しやすくなる。

第1は、内容の特徴です。幻覚や妄想の主は他人で、その他人が自分に対して悪い働きかけをしてきます。つまり人間関係が主題となっている。その内容は、大切に考えていること、劣等感を抱いていることなど、本人の価値感や関心と関連していることが多いようである。このように幻覚や妄想の内容は、もともとは本人の気持ちや考えに由来するものである。

第2は、気分に及ぼす影響である。幻覚や妄想の多くは、患者にとっては真実のことと体験され、不安で恐ろしい気分を引き起こす。無視したり、ほうっておくことができず、いやおうなくその世界に引きずりこまれるように感じるのである。場合によっては、幻聴や妄想に従った行動に走ってしまう場合もあり、「本当の声ではない」「正しい考えではない」と説明されても、なかなか信じることができないのである。