要素と環境

双生児や養子について調査をすると、発症に素因と環境がどの程度関係しているかを知ることができる。たとえば、一卵性双生児は遺伝的には同じ素因をもっているはずであるが、2人とも統合失調症を発症するのは約50%とされているので、遺伝の影響はあるものの、遺伝だけで決まるわけではないことがわかる。
様々な研究結果を総合すると、統合失調症の原因には素因と環境の両方が関係しており、素因の影響が約3分の2、環境の影響が約3分の1とされている。素因の影響がずいぶん大きいと感じるかもしれないが、この値は高血圧や糖尿病に近いものであるので、頻度の多い慢性的な病気に共通する値のようである。
子どもは親から遺伝と環境の両方の影響を受けるが、それでも統合失調症の母親から生まれた子どものうち同じ病気を発症するのは約10%にすぎない。