494のつづき

 第1四半期の三菱航空機の開発費は約200億円だった。今年度の600億円の3分の1を使った計算になる。残り3四半期で400億円だが、三菱重工の収益が急速に回復することは見通せず、
今年度内に試験飛行再開のメドは立たないのが実態だろう。
 ◇「ワールドドリームチーム」でなくなった
 三菱航空機の人員削減は「正社員は配置転換などに応じてもらい、契約社員は契約の終了をお願いする形で進めている」(小沢氏)という。最高開発責任者を務めていたアレックス・ベラ
ミー氏が6月末で退任したのが象徴的だったが、今後も毎月の月末を区切りに、退職、異動などで削減が続くという。
 そのような中、ベラミー氏退任後の7月初め、三菱航空機のホームページの幹部紹介欄にちょっとした変化があった。6月末まで紹介していた幹部社員は22人。そのうち外国人社員はベラ
ミー氏をはじめ13人。日本人は水谷久和会長、丹羽高興社長以下9人で外国人の方が多かった。それが7月以降は日本人ばかりの6人となった。
 水谷氏はかつて、「三菱航空機には多くの外国人技術者が国籍関係なく集う。われわれはワールドドリームチームだ」と語っていた。しかし現在のホームページが示すように、少なくとも表
看板は「ワールドドリームチーム」ではなくなってしまった。
 コロナ禍で漂流するスペースジェット。再び日本人中心に縮こまってしまった三菱航空機。開発の行く手はまだ見通せないでいる。