グダグダ自称「国産」三菱スペースジェット「おカネがなくて飛べない」
https://news.yahoo.co.jp/articles/61df3c9e7edb3ed02fa2329ddc176084cfd5a715

8/15(土) 9:30配信 毎日新聞
 新型コロナウイルスの感染拡大で、三菱スペースジェットの開発は事実上の中断に追い込まれている。6月以降、三菱航空機が持つ試験機はすべて試験飛行を行っていない。大きな理
由は開発費の制約があるからだ。【毎日新聞経済プレミア・平野純一】
 ◇データの再検証などを優先
 三菱航空機は、航空当局から安全性の承認を得る「型式証明」を早期に取得したい考えは変わらないとするが、試験飛行ができなければ、いったん立ち止まるしかない。
 現在、飛行できる試験機は、米国の拠点・ワシントン州モーゼスレークの空港に4機、名古屋空港に1機の計5機がある。ただ、米国の4機は古い設計によるもの。名古屋空港にある試験機
(10号機)は、飛行制御機器の配置を変更して1月に完成した新型機だ。型式証明を取るためには10号機の試験飛行を繰り返す必要がある。
 新型コロナ問題が起きる前、三菱航空機は10号機を早期に米国に送り、型式証明の取得を急ぐ構えだった。しかし、新型コロナの感染の広がりで経由地の空港が使えなくなり、米国行き
を断念せざるをえなくなった。
 さらに、コロナの影響で親会社・三菱重工業の収益も悪化し、今年度の三菱航空機の開発費は600億円と前年度の半分程度になった。人員も大幅な削減を余儀なくされており、資金的な
余裕はまったくない。
 そこで当面は多額の経費がかかる試験飛行を行わず、地上で事務的にできる作業を優先するという判断になった。つまるところ、スペースジェットの試験機はおカネがないので飛べない
状態なのだ。技術者は、これまでの計3900時間の試験飛行で積み上げたデータの再検証や、国土交通省と米連邦航空局に提出する書類の精査などを行っている。三菱航空機は「限られ
た予算の中で最適の判断をした結果」としている。
 ◇三菱重工は四半期で過去最大の赤字
 データの検証はもちろん重要だが、試験飛行が行えなければ、型式証明にはたどり着けない。ただ、この状況は簡単に変わりそうもない。8月3日に発表された三菱重工の2020年度第1四
半期決算は、最終(当期)損益が579億円の赤字(前年同期は163億円の黒字)で、四半期で過去最大の赤字となった。
 特に、同じく新型コロナで大きなダメージを受けているボーイング向けの部品納入は前年比で半分以下という厳しさだった。三菱重工は、B777の後部胴体、B787の主翼を製造している。777
の後部胴体は、19年度第1四半期の16基が20年度第1四半期は6基、787の主翼は43基が18基と、いずれも半分以下に落ち込んだ。
 決算記者会見で小沢寿人最高財務責任者(CFO)は「第1四半期が底だと見ている」としたが、航空アナリストは「コロナ問題が長引けば、第2四半期以降も大幅減が続く可能性がある」とみ
る。
 その他、民間航空機向けエンジン事業、自動車向けのターボチャージャーなども苦戦。プラント・インフラ事業、物流機器などを含め、ほぼすべての事業分野で売り上げ、事業(営業)利益
ともに前年同期比で減少した。