161のつづき

それから、昨年議論となった違法なサイトへのアクセスを禁じるブロッキングにも注視してきた。
「技術を歪める方向に行き、ビジネスを技術に合わせようという努力をしていないですよね。挙げ句の果てに、DL違法化が出てきました。これは、潜在的なお客さんを犯罪者扱いする法律で
すから、根源的にまちがっていると思います。昔、金子さんも同じようなことを言ってたんですが、今更ながら思いだします。
守るべきはコンテンツであり、旧態然としたビジネスモデルではないはずです。それを履き違えた議論、勝手に混同した議論がありますが、そこは区別するべきだと思います」
小説では、金子さんの最期も書かれている。小説を通じて、壇弁護士とともに7年半を走り抜けた読者にとってもつらい別れだが、ページを手繰れば、いつでも在りし日の金子さんに出会え
るのだ。
「小説という形にしたのは、映画化もきっかけでしたが、時系列で読んでる人が金子さんを弁護しているような気持ちになればいいなと思ったからです。今の世の中で、誰かの為に情熱を注
ぐなんてこと無いと思うんですよ。
僕が登場人物ではありますが、僕を見るというより、僕を通して金子さんを弁護してもらえると成功ですね。ときどき、金子さんに感情移入して自分が被告人になった気になっちゃう人もいる
らしいですけどそれはそれでOKです。
そういう人の心の中に金子さんは生き続けることができるのですから」