>>17
涅槃仏の像は少ないが、涅槃図は大抵のお寺にはある
仏典を読んだり寺を建立したりするのは、それなりに力を持った人達の仕事であり、一般民衆は
専ら絵解きによって仏教を学んでいた
地獄図や餓鬼草紙なども、そのような背景から生まれておる

日本では、浄土思想が一気に民衆に広がっていく
「一仏→一浄土」という考え方も広まり、釈迦如来もまた、「無勝荘厳国」という浄土で今も説法を
なさっているのだと考えるわけじゃな

浄土思想の広がりは、仏というものをどのように崇拝するかという意識にも変化をもたらす
「仏道修行を積み、いつか成る目標であり到達点としての仏」から「広く衆生を済度する救い手と
しての仏」へと。

涅槃像というものは、釈迦如来が娑婆世界における肉体を捨て去ったときの姿を写したもの
仏とてある種の滅びを覚悟せねばならないことを示しており、日本における「救済者」としての仏の
イメージが強くなればなるほど、人々にとってすんなり受け入れることが難しくなっていったのでは
なかろうか