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 そしてコロナ対策でも官僚の造反が始まった。安倍首相は新型コロナ治療薬の
有力候補とされる富士フイルム富山化学の「アビガン」について、5月4日の記者会見で
「今月中の承認を目指したい」とスピード承認に前のめりになっていた。
それにストップをかけたのも共同通信のスクープだ。

〈(アビガンについて)国の承認審査にデータを活用できると期待された臨床研究で、
明確な有効性が示されていないことが、分かった。複数の関係者が共同通信に
明らかにした〉(5月20日付配信)

 報道後、加藤勝信・厚労相は、「現状においては独立評価委員会から科学的に
評価することは時期尚早との考え方が示された」と5月中の承認を断念することを発表した。

 しかし、この独立評価委員会は厳重な秘密保持義務があり、結果を外部に
漏らすことはないとされる。「リークしたのは評価内容を知りうる厚労省以外に
ありえない」というのが官邸サイドの見方だ。それというのも、感染症対策や
医薬品行政を所管する厚労省医薬・生活衛生局では首相のアビガン早期承認方針に
反発が強いからだ。同省職員が語る。

「アビガンには催奇性など強い副作用があることが知られている。安倍総理は
無責任に早く承認しろというが、十分な治験と安全性の確認がないまま新型コロナの
治療薬として承認し、健康被害が出た場合に責任を負わされるのは官僚です。
過去には薬害エイズ事件で当時の生物製剤課長の有罪が確定した。
安倍さんは何かあっても刑事責任は負わなくてすむ。そんな人の言葉には従えない」

 暴露と造反の連鎖は止まらない。安倍首相が「有力な選択肢の一つであると
考えている」と導入を推進した学校の9月入学問題では、早期導入に慎重とされる
文科省が家計負担が3.9兆円にのぼるという試算を発表すると、PTAや教育学会などから
批判が相次いで自民党ワーキングチームも見送りを提言した。役所が安倍首相の
意に反する情報やデータを示したことで方針は次々に覆されている。