>>12-13の続き

 食事は1日3回、魚中心に栄養バランスが考えられたものを、頭からつま先まで
覆う重装備の看護師さんが、部屋まで運んでくれました。水1本持ってきてくれるときでも、
病室に入るときに防護服をまとい、出るときに捨てていました。

 一方、医師とはICUの手前まで行った日と入退院時に顔を合わせただけで、治療方針などの
話は基本的に電話。実務はすべて看護師さんです。勇気が要るすばらしい献身ぶりで、
感謝しかありませんし、尊敬の気持ちでいっぱいです。いつかなんらかの恩返しが
できたら、と考えています。

 ところで、僕はタバコを吸わず、毎日5キロ走るなど健康に気をつかっていましたが、
入院に際して尽力してくれた懇意の先生は、常々「過信してはいけない」と言っていましてね。
入院時、病棟を移動中に一度だけすれ違いましたが、力強く「絶対に治しますから」と
言ってくれて、勇気づけられました。

 さて、退院から4週間経てば、ぶり返すことはないと言われますが、治ってから、
どうやって食べていけばいいのか――。それは不安です。レギュラー番組はあるものの、
沖縄の店は3月まで月400万円の売り上げがあったのに、4月は13万円。国は補償して
お金を出せばいいと思っているフシがありますが、お金だけの問題ではなく、我々みんなが
築き上げてきた人生、人間としてのプライドや価値観の問題でもあるのです。

 また、ワクチンや治療薬ができるまで、新型コロナとは共生していくことになりますが、
今後、新しい感染症の危機にさらされる可能性だってあるわけで、そう考えると国は
のんびりしすぎのようにも思えます。

 たとえばドイツには、国立科学アカデミー・レオポルディーナという組織があり、日本の
専門家会議のようなものですが、医学だけでなく、数学、経済学、環境学、心理学、
社会学、法学など、あらゆる分野のエキスパートが集まっています。
このように、日本も他国のいいところを積極的に取り入れ、みんなで一体になって
新型ウイルスを乗り越えていきたいですね。