「彼はコロナ禍を新聞の1面の下半分に押し下げようと力を込めている」と指摘するのは、
ニクソン、レーガンなど4大統領の顧問を務めたデービッド・ガーゲン・ハーバード大学教授だ。

トランプ氏は1日、自身は「全ての平和的な抗議活動の味方」だと述べたが、それに反する過
去がある。1990年に米誌プレイボーイに対し、中国共産党が前年の天安門広場での学生デモを
武力鎮圧したことを称賛し、弱腰と思われている米国を尻目に中国は「力というものの強さ」
を示したと語っているのだ。

トランプ氏は1日の州知事とのテレビ会議で、フロイドさんが死亡したミネソタ州は抗議デモ
のせいで「世界の笑いもの」になっていると語った。

トランプ氏の元広報ストラテジスト、ジェイソン・ミラー氏は16年の選挙戦といくつかの共通
点があると話す。トランプ氏は「人々を慰めたり手を握ったりする最高責任者としてではなく、
仕事を成し遂げるために雇われた」のであり、共和党支持者は同氏が犯罪に強硬姿勢を取るこ
とを求めているという点を思い起こすことが重要だという。

だが、その戦略は失敗するとの見方もある。共和党ストラテジストのジョン・ウィーバー氏は、
中心組織を持たず緩やかに連携する左翼の反ファシスト運動「アンティファ(反ファシスト)」
がデモの暴徒化をあおっているとトランプ氏が非難していることについて、同氏が18年の中間
選挙前に「キャラバン」(中米諸国から米国を目指した移民集団)の問題で国民の不安をあお
り立てたことと比較する。

「16年のトランプは好況の中で、25年にわたりプロの攻撃マシンの中傷を浴びていた女性候補
と争うひとつの『理論』だった」とウィーバー氏は指摘する。「しかし今、トランプとトラン
ピズム(トランプ主義)はれっきとした『事実』だ。11月には大敗を喫するだろう」