強まる自粛ムードに異議 憲法学者が勧める批判的思考 阿部峻介 2020年5月3日 15時00分

 新型コロナウイルスの感染が拡大するなかで迎えた憲法記念日。
感染防止を理由に外出や営業の「自粛」ムードが強まっていることに、
志田陽子・武蔵野美術大教授(憲法)は異議を唱える。
憲法で保障された権利と、それを制約する「公共の福祉」のバランスをどう考えるべきなのか。

補償なく休業「強制」、おかしい

 ――今の「自粛」の何が問題なのですか。
 何が良くて何がダメなのか基準がはっきりしないため、行き過ぎた萎縮や圧力が生まれている。
一斉休校中に子どもを公園に連れて行っただけで、警察に通報する人が相次いだ。
感染した人を「殺人鬼」と表現した議員もいた。過剰な正義感は隣人を追い詰め、差別を生む。
外出自粛は強制ではなく要請なのに、東京では警察が新宿・歌舞伎町などで巡回を始めた。

 ――警察も強制にならないよう配慮しているようですが。
 警棒を手にした「お願い」は威嚇であり、強制と受け止める人が多いだろう。(以降登録記事)

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