聖職者の性虐待、1950年代から16件「氷山の一角」 編集委員・大久保真紀 2020年4月14日 16時57分

 日本カトリック司教協議会は、聖職者による未成年者への性虐待について、
1950年代から2010年代までに計16件の被害の訴えがあったとする調査報告書をホームページで公表した。
聖職者側が加害を認めたのは4件。否認したケースで第三者委員会による調査があったのは
1件だけだった。処分中にもかかわらず、条件を守らずに活動している聖職者もいたという。

 調査は、世界の教会で性虐待が明らかになっていることに
危機感を強めたフランシスコ教皇の意向を受けて、司教協議会が昨年5月から実施した。

 その結果、被害の訴えは計16件あった。内訳は、50年代に1件、60年代に5件、
70年代に1件、90年代に3件、2000年代に3件、10年代に2件で、ほかの1件は詳細不明。
 訴えた被害時の年齢は6歳未満が1人、6〜12歳が5人、13〜17歳が6人、不明が4人。
性別は男子7人、女子6人、不明が3人だ。訴えは、最も早くても被害を受けてから半年以内で、
10〜30年後が最も多く、50〜70年後に訴えたケースもあるという。

 聖職者側は日本人と外国籍が半々だった。訴えがあった際の措置は、
聖職停止が2件、退会が1件、異動が8件、不明が5件で、現在も5人は聖職にあるという。

 司教協議会は、今回の結果を「氷山の一角」としており、会長の高見三明大司教(長崎大司教区)は
「調査報告には、教会が抱えている問題、今後取り組まなければならない課題が多く含まれており、
引き続き、真の実態把握への努力を続け、再発防止に全力を尽くす」としている。(編集委員・大久保真紀)

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