検体の抽出時に混入か 愛知PCR検査、24人誤判定で
小林圭、荻野好弘、木村俊介 2020年4月14日 1時03分

 愛知県による新型コロナウイルスの検査にミスが起き、県は、11日に発表した新たな感染者数を
28人から4人に訂正した。誤ってウイルス陽性とされた人の一部は入院し、
死亡後に感染者と発表された同県一宮市の男性も陰性だった。県は遺族や関係者らに連絡して
謝罪した上で、再発防止策を講じる。なぜこのようなミスが起きたのか。

 11日の県衛生研究所の検査で誤って陽性とされたのは24人。このうち6人が新たに入院した。
そのうち東海市の80代男性は、2時間ほど感染者と同じ病室に入っていたことから、
2週間の経過観察を受けることになった。ほかの5人は個室に入っていた。また、11日に亡くなった
一宮市の80代男性は、誤って陽性と判定されたために葬儀を行わずに火葬されたとみられる。(中略)

 県によると、今回のミスはPCR検査のうち、
採取した検体からウイルスが持つRNAと呼ばれる遺伝物質を抽出する過程で起きたとみられる。
 県衛生研は、1日おおむね100件超の検査をしている。
感染の疑いがある人から採取された検体は、専用の容器で届く。
遠心分離し、上澄み液からRNAを抽出。増幅させる処理をして「陽性」か「陰性」かを判定する。

 だが11日の結果に対し、保健所などから「陽性が多く不自然だ」などの指摘が寄せられた。
残っていた上澄み液を県衛生研が再検査したところ、ほとんどが陰性だったという。
県は、上澄み液からRNAを抽出する過程で混入が起きた可能性が高いと判断している。

 県の担当幹部は12日夜の会見で「作業が毎日続き、疲労が全くなかったとは言えないが、
ミスがあったことは弁解の余地はない」。今後は複数人がチェックするほか、
確認項目をリスト化するなどの再発防止策を講じるという。

 大村秀章知事は13日の会見で「陰性だったものを陽性としてしまったことは大変問題。
心からおわび申し上げたい」と陳謝。検査態勢は平日は6人だが土日は2人だったことを挙げ、
「おぼつかないので、土日をさらに増強する。
気を引き締めてやるよう、指示をした」と強調した。(小林圭、荻野好弘、木村俊介)
ttps://www.asahi.com/articles/ASN4F6JK4N4FOIPE00W.html