コロナにBCGは「有効」なのか?東北大・大隅教授が緊急解説
大隅典子
https://diamond.jp/articles/-/234432

日本の高齢者へのBCG接種研究

実は日本では03〜04年にかけて、老人の肺炎予防を目的に、BCG接種の効果についての臨床研究が実施されている。当時、
東北大学の老年内科のグループは、高齢者介護施設に入所中で日常生活動作の低下した155名の高齢者を対象に、
まずツ反検査を実施して陽性群と陰性群に分け、陰性群の約半数にBCG接種を試みた。

 BCG接種4週間後に再びツ反の判定を行い、その後2年間にわたり肺炎の発症率を追跡調査したのだ。その結果、
ツ反が陽転しなかった群では42%に新たな肺炎が発症したが、陽転した群や、もともとツ反陽性群では、それぞれ15%、
もしくは13%しか肺炎を発症しなかった。すなわち、BCG接種は免疫反応性の低下した寝たきり高齢者において、
肺炎発症の予防効果を有することが明らかにされたのである。

 ただし、この場合の肺炎の原因は新型コロナウイルスではないので、BCG接種が実際にCOVID-19感染症予防に功を奏するかどうかは、
欧州のBCG接種の結果を待たなければならない。