https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-13/Q8P113T1UM1M01
フランスで副作用の報告多数−トランプ氏が有望視する抗マラリア薬
Rudy Ruitenberg、Robert Williams
2020年4月13日 9:32 JST

●マクロン大統領、試験指揮する研究者と面会するためマルセイユ訪問
●米国のヒドロキシクロロキン備蓄は最大2900万回分

フランス国家医薬品安全庁(ANSM)は10日、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンを投
与された新型コロナウイルス感染症(COVID19)患者に心臓への副作用が見られた
事例が43例あると明らかにした。同薬については、トランプ米大統領がコロナ治療の状況
を一変させる「ゲームチェンジャー」になり得ると繰り返し述べている。

全身性エリテマトーデス(SLE)や関節リウマチの治療にも利用されるヒドロキシクロ
ロキンの米国での備蓄は最大2900万回分に上るが、ANSMが示した有害事象のデータは
COVID19のパンデミック(世界的大流行)に歯止めをかけるため効果が立証されて
いない医薬品を使用するリスクを浮き彫りにしている。

9日にはマクロン仏大統領が、ヒドロキシクロロキンの試験が行われている南部マルセイ
ユのクリニックを訪問。ヒドロキシクロロキンが幅広く知られるようになるきっかけとな
った試験を指揮する仏研究者ディディエ・ラウール氏と3時間余り面会した。マクロン氏
の側近はこれについて、お墨付きを与えるものではないと説明した。

ラウール氏の試験手法は、プラセボ(偽薬)を投与する対照群がないために批判を浴びて
いる。ANSMによると、フランスでは3月27日以降、新型コロナ感染症患者への試験的
な医薬品使用に関連した副作用の事例が約100例、死亡が4例、さらに蘇生措置を講じた
例が3例あった。副作用が出た約82例は「深刻」で、その大半はヒドロキシクロロキンと
抗HIV薬ロピナビル・リトナビルが半分ずつを占めた。

ANSMは発表文でこれら医薬品について、開発対象の疾患以外の治療に利用されている
などと言及し、「厳密な医療上の監視下で医療機関でのみ使用されるべきだ」と強調した。