全員はマトモな医療を受けられない…英国はコロナ危機を乗り切れるか
4/3(金) 10:01配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200403-00071459-gendaibiz-eurp

日本人は「イギリスを始め欧州の医療は、国民皆保険制度で無料で治療が受けられ、入院もできるので、日本よりも遥かに恵まれている」「人権に配慮したとても素晴らしい制度だ」と絶賛することがあります。
しかし、これは現地の実態を知らない、欧州が大昔のまま変わっていないと信じ込んでいる人々の、大変都合のよい綺麗事です。
日本の社会政策や政治学の研究者の中にも、1960年代や70年代の欧州の姿のまま知識が更新されておらず、昔話をまるで今のことのように繰り返し述べて稼いでいる人達がいます。

「ゆりかごから墓場まで」といわれたイギリスの社会福祉制度や医療制度は、とっくの昔になくなっているのです。

これはイギリスだけではなく欧州大陸も同様で、国民皆保険制度や無料の医療制度は、どの国でも疲弊している状態です。
どの国も高齢化が大変な問題になっており、高齢の患者が増えているので、医療費が国の財政を圧迫しています。
新型コロナウイルスの問題が起こる以前から、イギリスだけではなく欧州の国々では、医療制度の疲弊がかなり深刻になっていました。

私はイタリアのローマに国連専門機関の職員として4年間住んでいました。国連職員は職場が契約する民間の医療保険に入っているので、イタリアでは病気になると、私立の病院に行きます。
私立の病院というのは、保険がなければ治療費や入院費は自費ですから、大変高額です。

なぜ職場が私立の病院に行くための保険を提供しなければならないかというと、 地元の公立病院のレベルがあまりにもひどいからです。
「無料は無料なり」です。その質の低さは、日本人には信じがたいレベルです。

家庭医といえば聞こえは良いのですが、単なる診療所です。GP経由で予約できる専門医は、国立病院で働いています。
国立病院は年間の予算が決まっていますから、なるべく患者の数を減らしたいと考えています。

日本に比べると検査機器の数も少ないですから、例えば簡単なCTスキャンだと、緊急性が低いとされた場合は2〜3ヵ月待ちになります。
人によっては半年先です。運が悪いと、検査を受ける前に症状が悪化して死んでしまうことがあります。

この話を日本の医師にすると、誰も信じてくれません。
日本にはCTスキャンの機器が山のようにあり、子供にそんな症状があれば、すぐに診察をして検査と治療に入るからです。

ところが、イギリスの人に日本の医療の話をすると、今度は日本に多くのCTスキャナーがあるということを信じてもらえないのです。
それだけイギリス人は、国立病院のリソース不足に慣れてしまっているということです。