小池知事が明言した通り、日本では、罰則付きの移動制限や都市の封鎖といった強硬なロックダウン措置をとることは、現行法下では不可能だ。
一つの参考になるのは、2月27日に安倍首相が全国の小中高と特別支援学校に要請した、臨時休校だ。これは安倍首相の政治判断による「要請」で、法的な強制力があるものではなかったが、全国の学校の99%が休校した。
日本でロックダウンが行われる際は、この臨時休校のように、政府や首長が協力を要請し、社会の側がそれに応じて「自粛」するという構図になるかもしれない。

一方で、日本には「強制的な移動制限」ができる法律も存在する。感染症法だ。
同法33条では72時間(3日間)以内という条件つきで、都道府県知事が「病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある場所の交通を制限し、又は遮断することができる」と定められている。
新型コロナウイルスを担当する西村康稔担当相は3月11日の衆議院内閣委員会で、イタリア北部で実施されていたような「移動制限」は、感染症法を適用することで可能になるとの見解を示している。

この対象は「エボラ出血熱」などの一類感染症のみで、新型コロナウイルス感染症は含まれない。西村担当相は、実際の運用には政令改正の手続きが必要になるとし、以下のように答弁している(3月11日時点)。
「現時点では考えておりませんが、専門家の意見を聞きながら、今後の感染拡大の状況を見て、適切に判断していきたい」

とはいえ、これも現実的ではないかもしれない。厚生労働省結核感染症課の担当者は、BuzzFeed Newsの取材に対しこう指摘している。
「感染症法の『72時間』は『消毒や健康診断を要するものを考慮』したものとされています。ロックダウンに運用するとなると、私権の制限を想定の大幅に超えた解釈になるというリスクがある」