>>116>>128の続き

――どこまで検査をして、どこからしないのか。その線引きは難しいです。
線引きは確かに難しい。今の日本以上、韓国未満のどこかが適切だと思う(編集部注:
新型コロナウイルスの検査数は韓国に比べ日本は大幅に少ない)。ただ、みんなが不安だからという
理由で検査をするのは間違いだということは確かだ。

なぜなら、そもそも検査は間違えるものだからだ。検査が陰性であればウイルスに感染
していないというのは神話である。したがって、検査を根拠にウイルスがいるとかいないとかを
結論づけてはならない。

――いま取り組むべきことはなんでしょうか?
科学的に正しい行動を優先させることだ。「安心するから」といった、ふわふわしたものを根拠に行動を
決めないこと。どこの国でもパニックや非科学的な衝動は起きる。トイレットペーパーを買い占めてみたり、
必要もないのにマスクをやたらとしてみたりとか。

政府や医師などの専門家が、一般の方々におもねって非科学的な話をするようなことは絶対にしては
ならない。非科学的な行動に対して、「意味はない、間違っている」と言い続けているのが専門家
集団であるアメリカのCDCだ。CDCは、症状が出ていない一般市民にマスクは不要だとはっきり
言っている。科学的なエビデンスに基づいて対策を打ち出していて、そこに政治的な介入が
入らないようになっている。

それに対し、一般人におもねって「マスクを増産します」という非科学的なメッセージを発信してしまうのが
日本の現状だ。政府が打ち出す対策のどこが政治的な話で、どこからが科学的な話なのかがわからない。
これも日本版CDCがないことの弊害だ。

安心を求めて、非科学的な議論をするのは危ない。被害は大きくなってもいいからみんなを
安心させればいいというのは、病気になっても麻酔薬で痛みだけを取るのと同じ発想だ。
病気はどんどん進行してしまうので、それは危うい。そういった非科学的な考え方に頼らないことが大切だ。