https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57264730W0A320C2TCR000/
[FT]コロナ禍、米政治を左傾化
ジャナン・ガネシュ FT 2020/3/27 0:00日本経済新聞 電子版 Financial Times

2012年の米大統領選挙中、当時、共和党候補だったミット・ロムニー氏は、支持者との会
合で民主党の現職大統領のオバマ氏を支持する47%の国民は「政府に依存しており、自分
たちを犠牲者だと思い込んでいる」と発言したとリークされた。彼らが「受け取る権利が
あると考えている手当」は、自分の要求は何でも通って当然と考えているオペラの主役女
性歌手のように医療から住宅、食料に至るまで「何でもありと思っている」と発言したと
される。

16日、今は上院議員のロムニー氏は、すべての成人の米国民に一律1000ドル(約11万円)
を支給するよう政府に求めた。このヘリコプターマネー案に加え、同氏は新型コロナウイ
ルスの感染拡大に伴う経済対策として、有給休暇や失業保険、栄養支援プログラムの拡大
を提案した。かつて米国の財政規律があまりにひどいとして、プライベートファンドのよ
うな容赦ないやり方で財政健全化を進めるべきだと主張していた財政緊縮派の同氏とは思
えない大盤振る舞いぶりだ。

■感染拡大により米で勢い増す左派的発想

今回のコロナ危機で誰が得をして、誰が損をするのかを見分けるのが私の仕事だ。まず得
する側として、ロムニー氏と同じく70代の上院議員で、バーモント州選出のサンダース氏
を挙げたい。今年の大統領選で民主党の指名候補獲得を狙っているが、同氏は今年も(そ
して78歳という高齢ゆえ今後も)民主党の大統領候補になることはない。民主党候補を選
ぶ今月17日の予備選でフロリダなど3州で勝利したバイデン氏は、もはやサンダース氏の
ライバルというより、今やサンダース氏に大きな差をつけ地平線の向こうを前進する存在
だ。しかし、およそサンダース氏に説得されそうにないロムニー氏がサンダース氏の政策
の良さを理解し、提案したことはサンダース氏にとり救われる面があるだろう。