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(続き)
 武漢市の33歳の医師、李文亮氏は昨年、ウイルスに関わる情報をいち早くSNSで発信し、
警鐘を鳴らした。だが、警察は「デマで秩序を乱した」として訓戒処分にした。
その後、十分な対策がとられないなかで李氏は自身も感染し、死亡した。
 李氏の遺志を継ぐ形で、北京大学教授らは今月、異例の公開書簡を発表し、
「人民の知る権利が奪われた結果、数万人が感染した」と指摘した。
感染拡大は当局の言論統制が招いた「人災だ」と糾弾している。
 報道への圧迫や市民の取り締まりを強めても、そうした疑念は拭えまい。

 現に起きていることを誰もが自由に発信し、論じあい、様々な対策と備えをとる。
それがいかに社会の強靱(きょうじん)化に必要か。
今回の問題は改めて、自由が制限された社会の弊害を中国国民に考えさせている。

 亡くなった李医師は中国メディアに「健全な社会は一種類の声だけであるべきではない」と語っていた。
その言葉の重みを共産党政権は正面から受け止めるべきである。

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