>>333
ペイラントの自由だな


やがて1648年、オランダはイギリスの強力な支援を背景に、スペインと講和を結び、
80年間におよんだ戦争の終わりを迎える。

しかし戦争の最中にオランダ商人たちは、なんと敵国であるはずのスペインに
大量の武器を売りさばき大儲けし、イギリス人を呆れさせていた。彼らの一人、
ペイラントは裁判にかけられた際、「貿易は万人にとって自由でなければならず、
戦争によって妨げられてはならない」と主張し、その結果無罪になる。
この主張と考え方が「ペイラントの自由」として、現代に広く知られている。

その後の情勢変化にともない、オランダとかつての盟友国イギリスとの関係は悪化し、
ついには戦争が始まる。だが、すでに連邦議会とオランダ東インド会社は、
「ペイラントの自由」を掲げて私利私欲を追求する人々によって支配されていた。

イギリスとの戦争にあたり、政治家たちは利権と保身を基準に国家の安全を判断し、
敵国に自国の船が拿捕されているにもかかわらず、商人たちはイギリスに軍艦用の
資材を売りさばいていたという。

かつての経済大国であり、技術大国でもあったオランダは急速に力を失い衰退し、
1798年 オランダ東インド会社はおよそ二百年のその幕を閉じる。