https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54662520R20C20A1000000/
米外資新規制、日本「ホワイト国」外れる 強まる安保色
瀬川 奈都子 コラム(ビジネス) ネット・IT 法務・ガバナンス 編集委員
2020/1/23 20:00日本経済新聞 電子版

米財務省は安全保障の観点から対米投資を規制する対米外国投資委員会(CFIUS)の届け
出を免除する「ホワイト国」のリストを公表した。2月13日施行の外国投資リスク審査近
代化法(FIRRMA)の新規則から適用される。昨秋、日本は改正外為法を成立させ、米国と
歩調を合わせてきたが、選ばれなかった。当面、米国の重要技術に投資する企業は審査対
応せざるを得ない。

■広がる審査対象
ホワイト国に選ばれたのは、オーストラリア、カナダ、英国の3カ国。CFIUSの審査は米中
間の緊張の高まりを受けて段階的に強化されてきた。2018年11月からの試験プログラムで
は、半導体など27の重要業種について外国投資家に申告を義務付けた。
2月に米国で施行される新規則は、機微な個人情報に関わる投資、軍事施設などに近い不動
産の取得もCFIUSの審査対象に加える。軍事転用できる技術の範囲が広がり、安全保障の解
釈自体も拡大されている。

日本政府も、中国への技術流出に神経をとがらせる米政府の動きに乗り遅れまいと動き出
した。19年11月に改正外為法を成立させ、外国人投資家が安保上重要な日本企業の株式取
得時に必要な事前届け出の基準を、取得後の持ち株比率で10%以上から1%以上へと厳しくし
た。日本が「抜け穴」にならないための手立てだ。外資による土地取得制限も検討する。

政府関係者からは外為法改正が日本のホワイト国入りにプラスに働くと期待する声もあっ
たが、当初のリストには選ばれなかった。日本の投資家はCFIUSの審査対象となりそうな
投資案件がある度に審査の必要性を分析し、必要に応じて申請する必要がある。新規則施
行後は規制が厳しくなるため「投資スケジュールにも影響する」(国際取引に詳しい篠崎
歩弁護士)とみられる。