https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/01/who-7.php
習近平とWHO事務局長の「仲」が人類に危機をもたらす
2020年1月31日(金)16時10分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

●WHO、緊急事態宣言は出したが中国に実質無害
●習近平とWHO事務局長との緊密な仲

エチオピアは「一帯一路」の要衝の一つで、たとえば鉄道建設などにおいて中国が最大
の投資国(85%)となっている。チャイナ・マネーなしではエチオピアの国家運営は成り
立たない。そのことを熟知している中国は、それまでの香港のマーガレット・チャンWHO
事務局長の後任選挙でテドロスの後押しに走り回ったが、2017年5月23日のWHO総会におけ
る選挙で見事に成功している。中国の狙い通りテドロスが当選し、2017年7月1日に事務局
長に就任したわけだ。

前任のマーガレット・チャンに関しても中国が水面下で動いていたが、習近平政権になっ
てからのチャイナ・マネーの威力は尋常ではない。
テドロスは、今年1月23日のWHO緊急会議で新型コロナウイルス肺炎に関する中国への緊急
事態宣言を延期した後、すぐさま中国を訪れ「さらなる視察」をした。
しかし「視察先」として行くべき武漢には行かず、北京の人民大会堂で習近平国家主席と
会談しているのである。「中国の現状を詳細に理解するため」としているが、何のことは
ない「習近平から中国が如何に立派に予防措置をしているかを刷り込まれるため」であっ
たことは誰の目にも明らかだろう。

●日本は習近平を国賓として招いてはならない

国賓として来日すれば天皇陛下が謁見することになり、窮地に立たされている中国は、思
いきりその映像を全世界にばらまいて中国の信用回復に利用することだろう。信用を失墜
し、崩壊するかもしれない中国共産党による一党支配体制を、またもや日本が手を差し伸
べて延命させてあげることになる。