「世界保健機関(WHO)の対応、動きが余りに遅い」(アジアの外交関係者)こともあって、
日本政府は28日の閣議で今回の新型肺炎を「指定感染症」に指定した。武漢には邦人退避の
ためのチャーター機も送った。しかしあと2カ月で日本国内の対策がほぼ終わり、安心感が
広がるのか。

習近平が訪日する場合、その外交団の陣容は警備や事前準備の要員を含めて数百人にのぼる。
国賓訪問となれば、天皇陛下との会見、晩さん会がある皇居や迎賓館、東京の後に訪れると
みられる地方都市にも配置される。

17年前の胡錦濤の例で見たように、習近平夫妻を含めた外交団は厳格な健康診断を受けて訪
日することになる。そのとき、首都北京周辺で新型肺炎が制圧されていない場合、危機管理
のハードルは一段と上がる。とにかく早期の完全制圧を願ってやまない。そのために日本も
全力で協力すべきだ。

そもそも感染症対策は隣り合う日中両国が緊密に連携すべき国際的な課題である。日中間で
これだけ人の往来がある以上、躊躇(ちゅうちょ)は許されない。前提となるのは情報の開
示、共有だ。その意味でも習近平訪日、首相の安倍晋三との日中首脳会談は極めて重要にな
る。(敬称略)