瓦解するNATO、西側陣営の崩壊は対岸の火事ではない
2/1(土) 12:12配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200201-00010000-wedge-eurp

米国の国際的影響力が低下していること、中国・ロシアという連帯した権力がユーラシアで台頭してきたことによって
国際社会の力のバランスが崩れ、西側陣営の崩壊が始まっているのである。

象徴的なのが2019年12月、ロンドンで開催されたNATO(北大西洋条約機構)首脳会議だ。
そこではNATOが「内憂外患」の状態に置かれていることが浮き彫りになった。

NATOにとっての「外患」は中国の欧州への影響力拡大であった。
中国の台頭に対してNATOが警戒心を示すのは初めてであり、首脳会議後のロンドン宣言では、
「中国の影響力増大と国際政策はNATOが同盟として取り組むべき機会と挑戦である」と表明した。
これは中国の地政戦略「一帯一路構想」を意識したものだ。

中国はチャイナマネーを世界中に展開させることによって世界経済を活性化させようとする平和的なものだと説明しているが、
中国の影響力を地球的規模で拡大させようとする世界覇権の構想と見ることもできる。

この構想はユーラシアを陸路で横断する陸のシルクロードと、ヨーロッパと東アジアを海路で結ぶ海のシルクロードによって形作られ、この陸路と海路を結ぶのが欧州の港湾施設である。
中国はすでにその要衝となるスエズ運河、ギリシャのピレウス港、イタリアのジェノバ港、トリエステ港に莫大な投資をして施設の使用権を獲得したほか、欧州内の10以上の港にも投資しており、
これらの港を経由するコンテナの量は欧州全体の10パーセント以上を占めている。このままだとNATO諸国の海洋権益が損なわれることにもなりかねない、とNATOは警戒しているのだ

また、中国はロシアと連携しながら軍事力を欧州周辺で誇示するようになった。15年には地中海で、17年にはバルト海で、ロシアとの海軍合同演習を実施した。
このように中国は軍事と経済の両面で欧州周辺での影響力を高めており、NATOは中国が欧州の軍事技術や知的財産、国家の重要なインフラを狙っているのではないかと懸念している。