ゴーン被告会見、出国手段「話さない」…司法制度を改めて批判 2020/01/08 22:31

 会社法違反(特別背任)などで起訴され、保釈中に逃亡した日産自動車前会長の
カルロス・ゴーン被告(65)が8日午後10時(日本時間)過ぎ、レバノンの首都ベイルートで、
逃亡後、初めて記者会見した。ゴーン被告は「基本的な人権も守られない」などと日本の刑事司法制度を
改めて批判したが、不法に日本を出国した手段については、「話さない」と口をつぐんだ。

 日本テレビが放送した生中継の映像によると、会見場に現れたゴーン被告は黒っぽいスーツに
ピンクのネクタイ姿。「私にとって重要な日だ。この日を楽しみにしていた」。気合のみなぎった表情で
集まった報道陣前に立つと、大きな身ぶり手ぶりで、まくし立てるように持論を展開した。

 ゴーン被告は2018年11月19日、役員報酬の過少記載事件で東京地検特捜部に逮捕され、
19年3月の最初の保釈まで勾留は108日間に及んだ。「検察官に『自白しなければもっとひどいことに
なる。家族も追及する』と言われ、絶望的な気持ちだった」とし、「日本の刑事司法は公平ではなく、
私は逮捕、勾留されるべきではなかった。私の家族も想像を絶する苦しみを味わった」と批判した。

 ゴーン被告の批判に対し、日本の法務・検察当局はこれまで、捜査の「正当性」を訴えることに
腐心してきた。ゴーン被告の逮捕当初は海外メディアも、「勾留期間が長い」「人質司法」などと
批判したが、「裁判所の審査を受けた適正なもの」との説明を繰り返した。

 ゴーン被告が逃亡した後の今月5日には、東京地検の斎藤隆博・次席検事が
▽公判では検察官が高度な立証責任を負う▽裁判所は証拠に基づき有罪か無罪かを
厳密に判断する――といった日本の司法制度の原則を説明。その上で、ゴーン被告も
弁護人と自由に連絡を取り合うなど、被告としての権利が十分に保障されていたと主張した。

 ゴーン被告は、東京地検特捜部が今月7日に特別背任事件を巡る偽証容疑で逮捕状を取った
妻のキャロル・ナハス容疑者(53)と面会できないことにも強い不満を示してきた。このため、
キャロル容疑者の逮捕状を取った際には、特捜部の市川宏副部長が報道陣に対し、キャロル容疑者には
証拠隠滅の疑いがあり、接触禁止には正当な理由があったとする異例の説明を行っていた。

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