しかし、台湾の情勢を左右する力もない中国が今後、一体どうやって「祖国統一」を実現す
るのか。当の環球時報社説は何の具体策も打ち出していない。しかし一方で、社説にはもう
一つ重要なポイントが隠されていた。
それは社説が何を言ったのかにあるのではなく、何を言わなかったかにある。社説は実は
「一国二制度」という言葉に一切触れなかったのである。・・・・環球時報は「一国二制度
の台湾統一」はすでに失敗に終わったと認識していながら、政権の体面を保つ一心で習政権
の政策失敗にあえて触れなかったのだろう。

習自身は当然、この失敗を絶対認めたくない。自らの打ち出した「一国二制度の台湾統一」
という政策的看板を下ろす訳にもいかない。現に、国務院台湾弁公室は15日に記者会見で
「一国二制度による台湾統一」の方針継続を明言した。

ならば、武力による台湾統一に踏み切るのか。総統選が終わってからのこの数日間、中国当
局や官制メデイアからはそんな論調は一切出ていない。環球時報の胡錫進編集長も12日、自
らの「微博」に短文を掲載し、ネットの「武力統一論」を「現実的ではない」と一蹴した。

「一国二制度による統一」政策の失敗を分かっていながらも方針転換はできず、武力行使に
も踏み切れず、新しい政策を打ち出すこともなく、ただ茫然自失に陥っているのが今の習と
政権の現状である。台湾人が勇敢に示した大いなる民意の前で、彼らの台湾工作も台湾政策
も完全に行き詰まっている。