(略)
ここにきて、共産党系の新聞が事実上「台湾の民意は統一反対である」と初めて認めた。
しかし台湾の民意が「統一反対」なら、それは共産党政権の今までの対台湾政策と台湾工作
が完全に失敗したことになる。環球時報は政権の失敗を認めつつ、国内向けにそれをさらけ
出したのだ。

環球時報は一体どうして、政権の失敗を認めるような「愚挙」に出たのか。その理由はやは
り、習近平政権の対台湾政策が失敗しているという認識が国内ですでに広がっていることに
あるだろう。つまり環球時報が認める前から、みんなとっくに知っていたわけである。
実際、環球時報はこの社説の中ではこうも書いている。
「国内のインターネット上では、一部の人々が蔡英文の再選を大陸の対台湾政策の『失敗』
だと見なしているが、このような見方は大陸の力に対する過大な評価と期待を反映している」

あれほどの情報操作と情報封鎖をやっていながら、こういう認識が中国国内で拡散している
のは、習政権にとってはむしろ蔡英文再選以上の衝撃であろう。だから環球時報は「失敗」
を認めた上で、「このような見方は大陸の力に対する過大評価」と、習政権の弁護を始めた
わけである。

環球時報は「われわれの好き嫌いで台湾選挙の結果が決まるのであれば(それに越したこと
はないが)、しかしそれは大陸によほどの実力があっての話であって、今の大陸にとってそ
れは現実ではない」との意味合いのことを書いた。

●「今の中国は実力不足」という告白
つまり、環球時報はここで蔡英文を再選させたのも台湾政策が失敗したのも習政権の失策に
よるものではない、今の中国にはそれだけの実力がないからそうなるのも仕方がない、と言
いたかった。普段から国威高揚の宣伝に努めてきた環球時報がここにきて、中国の実力の無
さを素直に認めるのは実に珍しい。逆に言えば、環球時報ですらもはや自国の実力を貶めて
台湾に影響を及ぼす力のないことを認める以外に、現政権を弁護する方法はないと考えてい
るのだろう。