https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54053100W0A100C2EAF000/
米軍、対「イスラム国」作戦中断 イランの報復警戒
2020/1/6 4:33

【ワシントン=中村亮】イラクやシリアの過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討作戦
を担う米軍主導の有志連合は5日、任務を中断したと発表した。イラン革命防衛隊司令
官の殺害を受けて同国が米国に対する報復攻撃を検討しており、兵士や軍事施設の安全
を確保するためだと理由を説明した。米イランの対立はIS掃討にも悪影響を及ぼし、中
東情勢の混迷に一段と拍車をかける恐れが出てきた。

有志連合は5日の声明で「我々の最優先事項はIS掃討に従事する有志連合の人員を守る
ことだ」と強調し、任務の中断を表明した。米軍を中心とする有志連合はイラクの治安
部隊に対する訓練や軍事情報の提供を通じてIS掃討を支援してきた。

有志連合は「IS壊滅支援のために我々を歓迎しているイラク政府やイラク国民のパート
ナーであり続ける決意だ」と強調した。ただイラク議会は5日、外国部隊の駐留終了を
求める決議案を可決しており、有志連合が今後もイラクでIS掃討作戦を継続できるかは
不透明になっている。米軍はイラクに5000人程度が駐留している。

米イランの対立が一段と激化したのはイラン革命防衛隊の精鋭組織「コッズ部隊」のソ
レイマニ司令官を米軍がイラクで殺害したことがきっかけだ。ポンペオ米国務長官は5日
のCNNテレビのインタビューで「(イランに対する)抑止力を取り戻すためのものだ」と
説明し、ソレイマニ氏の殺害を正当化した。

米政府によると、イランの支援を受けるとされるイラクの武装勢力が2019年11月以降に
米兵や米国の関連施設に対する攻撃を繰り返していた。