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「有罪率99%」という誤解
2020年01月02日 15:00 池田 信夫

カルロス・ゴーンが日本の司法制度を「推定有罪だ」と批判しているが、保釈条件を破っ
て国外逃亡した犯罪者が司法を批判するのはお門違いである。こういうときよく引き合い
に出されるのが「日本は有罪率99%」という数字だが、これには誤解がある。

警察が逮捕して送検した被疑者を検察が起訴する率は63%で、有罪件数を逮捕件数で割る
と国際的な平均に近い(ジョンソン『アメリカ人のみた日本の検察制度』)。多くの国で
は容疑者を起訴することは検察官の義務とされているが、日本では起訴するかどうかは検
察官の裁量にゆだねられているため、確実に有罪になる者しか起訴しないからだ。

この背景には、大陸法と英米法の違いがある。英米法では陪審員がおり、彼らは職業裁判
官に比べて無罪の評決を出す確率が高く、検察官にとって予測がむずかしい。これに対し
て、日本では裁判官と検察官の間に有罪となるかどうかについてのコンセンサスがあるの
で、無罪になりそうなものは検事があらかじめふるい落としてしまうのだ。(ry