https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46860000S9A700C1910M00/
米大統領選、民主本命バイデン氏に陰り ハリス氏急伸
2019/7/2 18:16

【ワシントン=永沢毅】2020年米大統領選の野党・民主党候補の指名争いで最有力と目
されたバイデン前副大統領の人気に陰りがみえている。直近の世論調査で支持率が急落
した同氏に代わり、大きく伸ばしたのがハリス上院議員ら女性候補だ。バイデン氏ら白
人男性の優位だった勢力図が変わる可能性がある。

米CNNが6月28〜30日に民主支持者を対象にした世論調査で、バイデン氏の支持率は前
回5月末の32%から22%に10ポイント下がった。ハリス氏は8%から17%に伸び、首位バ
イデン氏に5ポイント差に迫る2位に躍進した。

きっかけは民主が6月26、27両日に大統領候補を集めて開いた初のテレビ討論会だ。2日
目に登場したハリス氏は、バイデン氏への批判を展開した。バイデン氏には人種差別主
義者の上院議員を称賛した過去があり、1970年代に黒人と白人の差別解消を進めるため
のバス通学制度にも反対していたと追及した。

バイデン氏は「私の立場が誤解されている。人種差別主義者を称賛したことなどない」
と反論したものの、視聴者に防戦一方の印象を与えた。
ハリス氏はジャマイカとインドをルーツとした両親を持つ黒人女性。自身の差別経験も
交えた同氏の追及はバイデン氏に打撃となった。調査会社モーニング・コンサルトによ
る調査でも、討論会前後でバイデン氏の支持率は38%から33%に下がり、ハリス氏は6%
から12%に上がった。

バイデン氏がこれまでトップを走っていたのは、上院議員を36年、オバマ前政権で副大
統領を8年それぞれ務めた豊富な経験と知名度によるところが大きい。ただ、その経験
が他候補から標的にされるリスクがある。