https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-28/PS8IL36KLVR901
米為替報告書、中国の為替操作国認定見送り−日本の監視継続
Saleha Mohsin 2019年5月29日 7:03 JST 更新日時 2019年5月29日 8:34 JST

●中国の認定見送りで米中貿易戦争の激化は回避される見込み
●監視対象国にイタリアなど5カ国追加、インド・スイス外れる

米財務省は28日に公表した半期に一度の為替報告書で、中国の為替操作国認定を見送っ
た。トランプ大統領の選挙公約は今回も果たされなかったが、米中貿易戦争の激化は避
けられる見込みだ。

米財務省が議会に為替報告書を提出した。それによると、報告書の対象とする国・地域
を従来の12から21に増やした。また報告書の対象国のうち、より警戒が必要な「監視対
象国」に新たにアイルランドとイタリア、ベトナム、シンガポール、マレーシアを追加。
中国、日本、韓国、ドイツが引き続き監視対象国に指定された一方、インドとスイスは
除外された。
米財務省当局者が28日に記者団に語ったところでは、為替報告書は本来4月中旬が提出
期限だが、各国を評価する基準の変更などにより遅れていた。

為替操作国に認定された場合でも即時の制裁措置は講じられないが、金融市場を揺るが
しかねない。ブルームバーグは今月、ベトナムが為替操作国に認定される可能性がある
と報じたが、同国当局者が先週ワシントンを訪れ、為替慣行に関して追加情報を提出し
た結果、認定は回避された。

為替操作の有無を判断する3つの基準のうち、経常黒字を巡る基準が国内総生産(GDP)
比3%から2%に引き下げられた。残る2つの基準は自国通貨防衛のための為替市場へ
の持続的介入と、200億ドル(約2兆2000億円)以上の対米貿易黒字だ。これら3つの
基準のうち2つに抵触すると認定された国が、監視対象国に指定される。財務省による
と、中国は1つの基準にしか抵触しないものの、対米貿易黒字が巨額なため監視対象国
とされている。
原題:U.S. Spares China From Currency Manipulator Label Amid Trade War(抜粋)