米国と中国は貿易や投資ルールを巡って2国間交渉を続けているが5月に入って膠着状
態に陥っている。為替報告書では中国を「中国人民元は18年の間にドルに対して5.4%
下落した」と指摘。人民化安が続けば中国の対米貿易黒字も一段と膨らむと警戒感を
強くにじませた。中国の非関税障壁や産業補助金も貿易不均衡の要因と指摘した。

今回の為替報告書は調査対象国を前回までの12カ国から21カ国に広げた。監視リスト
の条件も拡大され、新たに5カ国が加わった。前回までは為替政策を監視する条件と
なる経常黒字の規模を、国内総生産(GDP)の3%としていたが、今回は2%に下げて
対象を広げた。そのため、前回の条件であれば監視リストに入らなかったイタリアや
マレーシアなどが加わった。

半期為替報告書は通常は4月中旬と10月中旬の年2回公表されるが、今回は発表時期が
1カ月以上も後ずれした。財務省高官は「対象リストを拡大したほか、中国との貿易
交渉の進捗も注視していた」と述べ、同報告書が通商協議と密接に関係していること
を認めた。