MMTと呼ばないでくれ
私説・論説室から 2019年5月1日

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 自国だけの通貨を持っていれば、その通貨は限りなく供給できるので、国の財政赤字が増えても気にしなくていい−。米国発の極論とも言える考え方が注目を集めている。

 「現代金融理論」(MMT)と呼ばれる。米ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授が提唱者だ。日本はMMTの成功例ではないか。こう指摘する向きもある。

 確かに政府は景気浮揚のため財政支出を拡大してきた。日銀は金融緩和や銀行経由で国債を引き受け、その拡大を下支えしてきた。公的債務の額は、ついに国内総生産(GDP)の約二倍になってしまった。

 しかしこの間、日本では経済破綻も極端なインフレも起きなかった。それどころかデフレ傾向が問題になっている。やはり日本経済はMMTの正しさを証明しているのか。

 バブル崩壊以降、大半の日本人や日本企業は支出を切り詰めてきた。将来が不安だからだ。みなが家族のために、会社の存続のために少しずつ支出を削り、頑張った。

 この結果、極端なインフレは起きず、海外から無用な借金もせずに済んだ。つまり国の政策というより「民」の涙ぐましい努力が経済危機を何とか防いできたのではないか。

 こうした努力は経済指標では測りにくい。ただ、日本人が生活を守るために懸命に続けた知恵の結晶を、MMTなどと机上の理屈で呼んでほしくはない。 (富田光)



気持ち悪い理屈だなあ。