民主主義国家は、財政再建が難しいという文献です。

※参考

財政が迫る新政治思想
https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/kobayashi/56.html

財政再建の問題についてはその問題の性質上、世代間の多数決によって負担の分配を決めることができない。
将来の何世代もの人々はまだ成人していないか、または、生まれてすらいないので、財政再建についての政治的意思決定に参加できないからである。
財政の間題は「現在世代」の我々が自発的に自己犠牲的な改革を実行するか、問題を先送りして将来世代に犠牲を押し付けるか、を選択するしかない。

我々が自発的に自己犠牲的改革を決意し実行するには、現在世代の快適な私生活よりも、世代を越えた「社会」の持続的発展により大きな価値を置く何らかの「政治思想」を持っていなくてはならない。
しかし、日本を含む先進諸国で支配的な個人主義的自由主義の政治思想は、現在世代の快適な生活を犠牲にしてまで守らなければならないような、個人を超えた政治的価値を提供できない。

一方、そのような政治的価値が大多数の人々に共有されていなければ、適切なタイミングで十分な規模の財政再建は実行できない。そ
の結果、もし財政の破綻的な調整が起きれば、その国は全体として長期的に衰退する可能性がある。
日本の財政問題が指し示しているのは、現代の民主制国家すべてが抱えるこの内在的な欠陥である。